フィリピンの2024年監査済み財務諸表(AFS)および一般情報シート(GIS)の提出

 フィリピンでは、12月決算会社の年次法人税申告(AITR)及び納付の期限は4月15日となっております。一方、監査済み財務諸表の提出については、別の期限が設けられています。

 本編では、2024年1月27日にRMC No. 2-2024で公表された、2024年のAFS等の提出期限についてご紹介します。

 

 

2024年のAFSの提出期限

 2023年12月31日に会計年度の終了する全ての法人、支店、駐在員事務所、地域統括本部(RHQ)は、財務諸表をSEC(証券取引委員会)のシステム(eFAST)を通じて提出する必要があります。

 2024年の財務諸表の提出期限は、以下のスケジュールのとおり、SECライセンスの末尾の数字によって異なります。

提出日 SECライセンスの末尾
4月29日~5月10日 1, 2
5月13日~24日 3, 4
5月27日~6月7日 5, 6
6月10日~21日 7, 8
6月24日~7月5日 9, 0


全てのSEC出張所において同スケジュールに従います。

 

上記スケジュールの例外

 上記の提出スケジュールは、以下の法人には適用されません:

・2023年12月31日以外の日に会計年度が終了する法人。これらの法人は、各自の会計年度終了後120日以内に財務諸表を提出する必要があります。

・12月31日に会計年度が終了するブローカーおよびディーラーの場合、4月30日にSECフォーム52-ARを提出します。12月31日以外の日に会計年度が終了する場合は、各自の会計年度終了後120日以内にSECフォーム52-ARを提出します。

・フィリピン証券取引所(PSE)に上場されている証券、PSEに登録されているが上場されていない証券、公開会社とみなされる法人、およびSRC 17.2項でカバーされるその他の法人。これらの法人は、会計年度終了後105日以内に財務諸表を提出し、年次報告書(SECフォーム17-A)を添付します。2024年にSECフォーム17-EX(証券規制法第17条に基づく報告義務の停止の通知)を提出した非上場の登録発行者は、12月31日に会計年度が終了する場合は4月30日、12月31日以外の日に会計年度が終了する場合は会計年度終了後120日以内に提出します。

・COAによって監査されている財務諸表を提出する法人。ただし、以下の文書を財務諸表に添付する必要があります。

  • 社長および財務役(該当する場合は最高財務責任者)によって署名された宣誓書。COAに財務諸表および関連資料を適時提供し、COAの監査が完了したことを宣誓します。
  • COAからの、上記の宣誓書に記載された情報を確認するレター

 

その他補足事項

・提出が遅延した場合は、2024年7月8日以降の受付とし、上記の提出日から算出される遅延罰則金の対象となります。

・財務諸表は、内国歳入局(BIR)またはその認可を受けた銀行によって受領印が押される必要があります(BIRが銀行伝票等の代替的な提出証明を許可する場合を除く)。BIR e-AFSシステムにより財務諸表を提出した場合はシステム生成の参照番号を添付します。

・財務諸表は、SRC Rule 68に規定された構成要素に従っている必要があります。形式要件のいずれかに違反した場合、またはそれらの特定の内容の評価において見つかった実質的な欠陥や誤りがある場合、SECによって罰金が科される根拠とみなされます。

・以下の法人は、2019年8月19日に委員会全員会議で承認されたSRC Rule 68に規定された一般的な財務報告要件に従って年次監査済み財務諸表(AAFS)を提出する必要があります:

  • 資本金または負債額が600,000ペソ(Php600,000.00)以上である株式会社
  • 資本金または負債額が600,000ペソ(Php600,000.00)以上である非株式会社
  • 払込資本金が1,000,000ペソ(Php1,000,000.00)以上の株式外国法人の支店/駐在員事務所
  • 総収益が1,000,000ペソ(Php1,000,000.00)以上の地域運営本部(RHQ)

 SECによって適用されないと判断されない限り、フィリピンで事業を行う外国法人の支店の財務諸表は、この規則の要件に準拠しなければなりません。

 上記基準を満たさない法人は、会社の財務役または最高財務責任者によって宣誓証明された財務諸表を提出します。

 

 

一般情報シート(GIS

 GISとは、日本の登記簿のようなものであり、役員、取締役、株主等の情報が記載されている書類です。
すべての法人は年次あるいは記載内容の変更時にGISを更新し、以下から30日以内に、eFASTを通じてGISを提出する必要があります。

  • 株式会社の場合、会計年度に実際に行われた株主総会の日
  • 非株式会社の場合、実際の年次総会の日
  • 外国法人の場合、そのSECライセンスの発行日
役員任命フォーム(一人会社(OPC)のみ)

 OPCの設立証明書の発行日から15日以内または変更が反映された日から5日以内(MC No. 7 s. 2019)に提出する必要があります。

 

レポートの提出

 すべての株式会社、非株式会社は、eFASTを通じて年次報告義務を提出する必要があります。

 eFASTで提出のできない報告書は、ictdsubmission@sec.gov.phにメールで提出することができます。

 eFASTを通じて提出された報告書は、以下の場合返却され、提出されたものと見なされません:

  • 画像の品質が悪い場合(例:ぼやけて読めない場合)
  • 画像が横向きになっている場合
  • 誤った会社概要の記載
  • 誤った期間および提出タイプ

 

 eFASTの営業時間は24時間です。ただし、審査、受入れおよび返却は、月曜日から金曜日にのみ行われます。土曜日、日曜日、休日、または業務停止中に提出された場合、次の営業日に提出されたとみなされます。

 法人によって提出された全てのレポートは、SECによる審査を経て、法令の違反に対する適切な罰金が科される可能性があります。

 

 

 フィリピンにおいては、実質すべての会社が監査対象となり、日本では馴染みのない対応が必要となります。遅延により思わぬトラブルを起こさないためにも、当局への提出スケジュールを把握しておく必要があります。また、GISについては、正しく年次更新・提出が行われていないケースも往々にしてあり、その場合はコンプライアンス違反となってしまいます。

 弊社では、年次のコンプライアンスの対応も行っております。まずはお気軽にお問い合わせフォームまでご相談ください。

 

投稿者プロフィール

Kazuki Hibino
Kazuki Hibino
独立系コンサルティングファームにて、M&A事業部、内部監査室を経て、2015年にフィリピン赴任。その後、外資系コンサルティングファームに転職し、主に国内上場企業のM&AにおけるFA業務を経験。2023年にフィリピンにて独立。

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