【2026年最新】フィリピンのCAS登録・電子インボイス(EIS)ガイド|PTU廃止後の手続きと対応会計ソフト一覧

 フィリピンでは政府を中心に会計税務領域におけるデジタル化を加速させる動きがあり、近年BIRより会計システム登録(CAS:Computerized Accounting System)および電子請求書・領収書システム(EIS:Electronic Invoicing/Receipting System)に関する方針や法令が段階的にアップデートされています。

 特に2026年9月には、電子インボイス義務化の2026年12月31日期限を前提とした新たなガイドライン(RMC No. 98-2026)が公表され、対応が現実味を帯びてきています。本編では、コンピュータ会計システム(CAS)の登録実務と、PTU(使用許可)制度の廃止後の手続き、電子インボイス(EIS)の最新動向について整理してご紹介します。

目次

1. コンピュータ会計システム(CAS)の概要

 フィリピンにおいては、未だ手書き帳簿を作成してBIRに提出する実務が主流です。一方で、ルースリーフ(Looseleaf)登録をすることで、会計ソフトの帳簿データをBIRに準拠した形式に集計し直した印刷物を提出することも可能であり、さらに、コンピュータ会計システム(CAS)を登録することで、ペーパーレスでの帳簿データの提出も可能となっています。

 今までにBIRより認証を受けたことがない会計ソフトにおいて、新たにCAS登録を行う場合、BIRによるシステム要件の確認、評価、改修等に伴う労力がかかることから、通常、納税者は既にBIRより認証を受けCASに対応している会計ソフトを利用することとなります。その上で、一般的にCAS登録とは、納税者が当該会計ソフトを使用するための許可を得る手続きを指します。

2. PTU(使用許可)制度の廃止とAcknowledgement Certificateへの移行

 CAS登録を巡っては、以前は「PTU(Permit To Use、使用許可)」の取得に長期間を要する問題がありましたが、RMC No. 10-2020(2020年2月6日)により、CAS/CBA(Computerized Books of Accounts)についてはPTU取得の要件が停止(suspend)され、代わりに「Acknowledgement Certificate(受領証明書)」を取得する簡易な手続きに移行しました。その後、RMC No. 5-2021(2021年1月8日)により手続きがさらに簡素化・早期化されています。

 Acknowledgement Certificateの取得手続きの概要は以下のとおりです。

  • 提出書類:(1)システムの概要・機能を説明した宣誓供述書(ノータライズ要)、(2)システムが生成する領収書・請求書のサンプル印刷物(BIR様式要件に準拠)、(3)システムが生成する会計帳簿(仕訳帳・元帳・売上/仕入帳等)のサンプル印刷物
  • 審査期間:所轄のRDO(歳入地区事務所)のTechnical Working Group Secretariatへ提出後、原則として3営業日以内にAcknowledgement Certificateが発行される
  • 発行後の実務:発行されたAcknowledgement Certificateの管理番号(Control Number)を、システムが発行するすべての領収書・請求書に記載する必要がある
  • 事後監査:Acknowledgement Certificateの発行後も、BIRによる事後評価(Post-Evaluation)の対象となる

 なお、この簡易な手続き(PTU取得の停止)はCAS/CBAが対象であり、ルースリーフ(Looseleaf)帳簿登録については、従来どおりのPTU取得が必要である点に注意が必要です。

3. CAS登録、電子領収書・電子請求書発行およびEISの対応が求められる納税者

 RR No.8-2022により、以下の納税者にはCAS登録および電子領収書・電子請求書の発行対応が求められています。

  1. 物品もしくはサービスの輸出に従事する納税者
  2. 電子商取引(eコマース)に従事する納税者
  3. 大規模納税者(Large Taxpayers)

 該当する納税者が対応すべき内容は以下のとおりです。

  1. 電子領収書・請求書の発行
  2. 電子領収書・請求書を発行するためのCAS登録、および/またはCRM(キャッシュレジスターマシン)・POS登録、販売データ送信システム(Sales Data Transmission System)登録
  3. 電子領収書・請求書発行の対象となる販売データを販売データ送信システムを使用する納税者のSLS(Summary List of Sales)提出は不要。ただし、SLP(Summary List of Purchases)、SLI(Summary List of Importations)は提出する

4. 電子請求書・領収書システム(EIS)の最新動向【2026年9月更新】

 TRAIN法第237条では、BIRにて必要データの保管・処理システムが確立した段階でEISを通じた電子領収書・電子請求書の発行を義務化することが規定されていましたが、長らく具体的な期限は示されていませんでした。しかし、2026年9月22日付のRMC No. 98-2026(RR No. 8-2022、RR No. 11-2025、およびこれを改正したRR No. 26-2025に基づく)により、対象納税者は2026年12月31日までに電子インボイスの発行を開始することが求められています。

 実務の流れとしては、まず「PTI(Permit to Issue Electronic Invoice)」を取得し、その承認から6ヶ月以内に「EIS認証(EIS Certification)」を完了させる必要があります。ExcelやWordなどの汎用ソフトのみでは要件を満たさず、システムが発行する請求書データをBIR所定のJSON形式で電子的に買主へ送信し、BIRへ販売データを報告できる体制が必要です。発行済みの電子インボイスは削除・改ざんができず、システム障害時はBIRが認める手書き請求書等で代替した上で、事後的に電子インボイスへの参照付けが必要となります。

 対象となる納税者の判定、JSON構造化データ要件、導入費用の追加控除(RR 11-2025/RR 26-2025)などの詳細は、フィリピン電子インボイス義務化の2026年12月31日期限まで残り4か月で詳しく解説しています。

5. CASに対応している会計ソフトの一覧(2026年9月時点)

 BIRより承認を受けている主要な会計ソフトの例は以下のとおりです(認証状況は随時更新されるため、導入検討時は各ソフトウェアプロバイダーまたは代理店に最新の認証状況をご確認ください)。

 現在利用している会計ソフトからの切換えを検討している場合、上記のソフトウェアプロバイダーまたは代理店に説明やデモを依頼し、CASおよびEIS(電子インボイス)双方に対応していることを確認した上で、導入を進めることをお勧めします。

6. 日系企業が留意すべきポイント

 CAS登録の手続き自体はPTU廃止・Acknowledgement Certificate化により以前より迅速化されていますが、EISについては2026年12月31日という具体的な期限が示されたことで、対象企業は会計ソフトのCAS対応状況の確認、PTI取得、EIS認証取得までのスケジュールを逆算して準備を進める必要があります。近年のデジタル化の指針に伴い、複数のガイドラインや法令が公表されている一方、実務上不明瞭な点も残っており、日系企業においては最新情報を継続的にキャッチアップした上での柔軟な対応が求められます。

まとめ

 CAS登録は、PTU制度の廃止によりAcknowledgement Certificateを用いた簡易な手続きに移行し、原則3営業日以内での発行が可能になりました。一方で、電子インボイス(EIS)については2026年12月31日という明確な期限が設定されており、対象企業(輸出・eコマース・大規模納税者等)は早急な準備が必要です。会計ソフトの選定からCAS登録、EIS対応までを一体的に検討することをお勧めします。

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