フィリピンの源泉徴収票(BIR Form 2316)について

 フィリピンのBIR Form 2316(所得支払証明書/源泉所得税控除証明書(CCPTW))は、日本で言うところの源泉徴収票であり、従業員の全所得、控除および源泉所得税がある場合はその合計をまとめた申告書です。
 本編では、BIR Form 2316の詳細、その目的、および雇用主と従業員の双方にとっての重要性について掘り下げます。

 

 

BIR Form 2316の目的と関連性 

 BIR Form 2316は、ある特定の年度における従業員の給与所得、源泉徴収された税金およびその他の関連情報の要約となります。これは企業と従業員の両方にとって透明性を確保しつつ、納税者の税法遵守に寄与するものであり、以下の点で重要とされています:

• 所得額の証明:特定の雇用主から従業員が年間で受け取った給与所得の記録として機能する

• 税法の遵守:雇用主が源泉徴収した税金の正確な金額を表示することで、従業員の年間所得税負担の計算を容易にしている

 

BIR Form 2316の構成要素

 BIR Form 2316に記載される情報は以下のとおりです。

• 従業員および雇用主に関する情報:
従業員と雇用主の名前、住所および納税者番号(TIN)を記載する
• 給与所得:
従業員の年間給与所得を記載する。これには基本給の他に手当、ボーナス、手数料、およびその他の関連する報酬所得が含まれる
• 非課税/免税給与所得:
課税対象外の給与所得を考慮して記載する。最低賃金労働者の基本給、休日手当、残業手当、深夜手当、非課税の手当(最大PHP 90,000)およびその他の非課税給与が含まれる
• 源泉徴収された税金:
雇用主が従業員の給与所得から源泉徴収した税金の総額が記載される
• その他の必須項目:
雇用主と従業員の署名欄では、証明書が善意で作成・検証され、担当者の知る限りにおいて真実かつ正確であることを確認し、2012年データプライバシー法に基づいて情報の処理に同意するものとする。 雇用主および従業員の署名欄は、代替申告の下で行う。従業員が当該年度において1雇用主のみから純粋な給与所得を受け取り、雇用主が正しく源泉徴収された場合は、所得税申告書(BIR Form1700(個人の確定申告))の代替申告となる

 

雇用主の責任

 BIR Form 2316に係る雇用主の責任は以下のとおり定義されています。

• 正確性と完全性:
雇用主は、申告書のデータが従業員の給与、源泉徴収された税金およびその他の関連情報を正確に反映していることを確認する責任がある

• 申告書発行:
雇用主は、従業員が当該年度終了前に離職していない場合を除き、翌年の1月31日までにBIR Form 2316のコピーを各従業員に提供する必要がある。または、従業員は離職に伴う最終給与支払いの際にBIR Form 2316のコピーを受け取る

• 提出:
雇用主はBIR Form 2316とアルファリスト(雇用主が所得税の源泉徴収に関連する情報をまとめたリスト)を、翌年の2月28日までにBIRに提供する必要がある

 

従業員の責任

 BIR Form 2316に係る従業員の責任は以下のとおり定義されています。

• 確認:
従業員は申告書全体を十分に確認し、給与所得、控除された税金、および免除などの情報が正確であることを確認する
• 記録保持:
将来の参照、税務調査および銀行や他の機関での個人の申請に資する証憑として、従業員はBIR Form 2316およびその他の関連する税務書類のコピーを保管しておく

 

 

 以上のように、BIR Form 2316は、雇用主と従業員の両方にとって正確な所得税の計算と遵守を可能にする重要な申告書です。雇用主は従業員に対して年間の所得の証明として、この申告書を提供する必要があります。BIR Form 2316の目的、内容および関連する責任を理解することで、従業員の給与所得に関する透明性、円滑な税務手続き、および税法の遵守を行うことができます。

 弊社では、給与計算および申告関連への対応についてもサポートしております。ぜひご連絡いただければ幸いです。

 

 

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投稿者プロフィール

Kazuki Hibino
Kazuki Hibino
独立系コンサルティングファームにて、M&A事業部、内部監査室を経て、2015年にフィリピン赴任。その後、外資系コンサルティングファームに転職し、主に国内上場企業のM&AにおけるFA業務を経験。2023年にフィリピンにて独立。