【毎年1月】フィリピンの地方税とビジネス許可(Mayor’s Permit)更新の実務|LBT・不動産税RPT・CREATE MOREのRBELT2%まで

フィリピンでは、事業許可(Mayor’s Permit/Business Permit)は毎年12月31日に失効し、原則として翌年1月20日までに更新しなければなりません。これに加えて、不動産を保有する企業は1月31日までの固定資産税(RPT)の一括納付で最大20%の早期納付割引を受けられます。年始のこの時期に更新業務が集中するため、準備の遅れがそのまま延滞加算金につながりやすい分野です。本記事では、地方税・事業許可更新の実務と、CREATE MORE法で新設されたRBELT(2%地方税一本化)の仕組みを整理します。

この記事の要点

  • Mayor’s Permit(事業許可)は毎年12月31日失効、翌年1月20日までの更新が原則。期限超過には税額・手数料の25%の加算金+月2%の延滞利息が課される
  • 更新には賦課年度前年の総売上高に基づく地方事業税(LBT)の算定、Barangay Clearance、消防安全証明書、衛生許可証などの取得が必要
  • 不動産を保有する企業は固定資産税(RPT)も対象。1月31日までの一括納付で最大20%の割引、未納は月2%(上限72%)の延滞利息
  • CREATE MORE法により、ITH・EDR適用中のRBEはLGUが課す地方税・手数料を「総所得の2%(RBELT)」に一本化できる制度が導入された
  • 5%SCIT適用の輸出企業はRBELTの対象外で、従来どおり個別の地方税体系が適用される

最終更新日:2026年9月。RBELT導入状況は自治体ごとの条例制定次第のため、随時更新します。

フィリピンの税務全体の位置づけについては「フィリピンの税務完全ガイド」もあわせてご参照ください。

目次

Mayor’s Permit(事業許可)更新の基本スケジュール

フィリピンの事業許可は暦年(1月1日〜12月31日)ごとに発行され、毎年12月31日に失効します。更新期限は原則として翌年1月20日で、この期限を過ぎると、未納の税額・手数料に対して25%の加算金と、月2%の延滞利息が課されます。年始は全国の事業者が一斉に更新手続きに動くため、担当窓口(Business Permit and Licensing Office:BPLO)が混雑し、書類に不備があると更新作業が長引くこともあります。実務上、1日で完了することもあれば、1〜2週間かかることもあるとされているため、年末年始をまたぐスケジュールで前倒しに準備しておくことをおすすめします。

更新に必要な書類と地方事業税(LBT)の算定

更新手続きでは、一般的に申請書、保険証券、SEC登録証明書、前年分の事業許可証、Barangay Clearance(バランガイ発行の証明書)、財務諸表などの提出が求められます。あわせて、消防安全証明書(Bureau of Fire Protectionが所管)や衛生許可証(従業員の健康診断書等を含む)の更新も必要です。地方事業税(LBT:Local Business Tax)の税額は、前年の総売上高を基準に、都市・自治体ごとに定められた税率表に従って算定されます。税率・算定方法は自治体ごとに異なるため、進出先の市・自治体の最新の税率表を毎年確認する必要があります。

固定資産税(RPT)の納付スケジュールと早期納付割引

自社所有の事務所・工場・土地などの不動産を保有している場合は、固定資産税(RPT:Real Property Tax)も別途申告・納付の対象になります。RPTは公正市場価額に評価水準を乗じた評価額に、税率(メトロマニラの都市・自治体では基本税率上限2%+特別教育基金1%の合計最大3%、メトロマニラ以外では基本税率上限1%+特別教育基金1%の合計最大2%)を乗じて計算されます。納付方法は、1月31日までの一括納付(最大20%の早期納付割引)と、第1四半期3月31日・第2四半期6月30日・第3四半期9月30日・第4四半期12月31日の四半期分割納付のいずれかを選択できます。未納の場合は月2%(上限72%)の延滞利息が課されるため、資金繰りの都合で分割納付を選ぶ場合でも、四半期ごとの期限管理が重要です。

CREATE MORE法で導入されたRBELT(地方税2%一本化)

2024年のCREATE MORE法(RA 12066)では、登録事業者(RBE:Registered Business Enterprise)向けに、地方自治体(LGU)が課すさまざまな税・手数料を一本化する新しい制度、RBELT(RBE Local Tax)が導入されました。RBELTの対象となるのは、ITH(法人税免除)またはEDR(Enhanced Deduction Regime)の適用を受けているRBEで、対象企業はLGUが課す固定資産税・地方事業税・フランチャイズ税・地方自治法上のサービス手数料等の代わりに、総所得の2%を上限とする単一の地方税を納付する扱いになります。一方、5%SCIT(Special Corporate Income Tax)の適用を受ける輸出企業は、SCIT自体が別の優遇体系であるためRBELTの対象外とされ、従来どおり個別の地方税が課される点に注意が必要です。RBELTはLGUが条例を制定して初めて適用される制度で、条例はFIRB・投資促進機関(PEZA等)へ制定後15日以内に送付する必要があるとされています。複数のLGUにまたがる事業拠点がある場合、RBELTの合計は2%を上限に、LGU間で均等50%・人口按分50%の基準で配分されます。CREATE MORE法の優遇体系全体については、別記事「CREATE MORE法で優遇税制はこう変わったか」で解説する予定です。

CREATE MORE法の優遇体系全体については「CREATE MORE法で優遇税制はこう変わったか」で解説しています。

よくある質問

Mayor’s Permitの更新を1月20日までに終えられなかった場合、事業は続けられますか?

期限を過ぎても事業自体を即座に停止されるわけではありませんが、未納税額・手数料に25%の加算金と月2%の延滞利息が課される可能性があります。ただし実務上は、窓口の混雑や当局側の処理の遅れによって、自社に落ち度がないまま期限内に手続きが完了しないケースも頻発しており、そうした場合には延滞金が発生しないことも少なくありません。とはいえ、自社側の書類提出や納付が遅れて期限を過ぎた場合は加算金・延滞利息の対象になり得るため、早めの書類準備と申請をおすすめします。

自社はRBELTの対象になりますか?

ITHまたはEDRの適用を受けているRBEが対象です。5%SCIT適用の輸出企業は対象外で、従来どおりの地方税体系が適用されます。また、進出先のLGUがRBELTの条例を制定していない場合は、条例制定まで従来の地方税が適用されます。

RPTの早期納付割引とLBTの割引は別々に考えればよいですか?

はい、別制度です。RPTは1月31日までの一括納付で最大20%の割引が適用されますが、LBT(地方事業税)の割引の有無・率は自治体ごとの条例によって異なるため、進出先の自治体窓口で個別に確認することをおすすめします。

複数の都市に営業所がある場合、地方税はどう按分されますか?

一般的な地方事業税は営業所ごとにそれぞれの自治体へ申告・納付します。RBELT適用企業の場合は、複数LGUにまたがる場合の2%上限の按分ルール(均等50%・人口按分50%)が別途定められています。

まとめ・専門家への相談

Mayor’s Permitと固定資産税の年始の更新業務は、期限管理さえできていれば大きな負担にはなりませんが、書類不備や窓口の混雑によって想定以上に時間がかかることもあります。CREATE MORE法のRBELTは、対象企業にとって地方税の事務負担を大きく軽減し得る制度ですが、進出先LGUの条例制定状況によって適用の有無が変わるため、自社の拠点がある自治体の対応状況を個別に確認する必要があります。年始の更新スケジュールや、RBELT適用可否の判定については、専門家への相談をおすすめします。カメリアコンサルティングでは、日系企業の事業許可更新・地方税実務の支援にも対応しています。

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執筆・監修:日比野和樹

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