PEZA・BOI登録企業の免税輸入品の売却・廃棄|5年ルールと関税・VATの注意点

PEZA・BOIなどに登録した企業(RBE)が、登録プロジェクトのために輸入する資本設備・原材料・スペアパーツなどには、一定の条件の下で関税の免除が認められます。輸入VATの免税は、登録輸出型企業(REE)と高付加価値の国内市場向け企業(高付加価値DME)の、登録プロジェクトに直接帰属する物品が対象です。こうして免税で輸入した物品を、後から売却・譲渡・廃棄するときには、CREATE MORE法の施行細則(IRR)のルールに従う必要があります。輸入から5年以内の処分にはIPAの事前承認が必要で、承認なしに処分すると、売り手と買い手が、本来の関税の2倍を連帯して支払う責任を負います。本記事では、設備の入替え、拠点の縮小・撤退、スクラップの販売のときに確認すべきルールを整理します。

目次

この記事の要点

  • 関税免除の対象は、登録プロジェクトに直接帰属する資本設備・原材料・スペアパーツ・付属品(管理目的の物品を含む)で、国内で十分な量または同等の品質で、妥当な価格で製造されていないもの
  • 輸入の前に、IPAからCAI(輸入の承認)を取る。CAIは譲渡できず、原則として発行から1年間有効
  • 輸入から5年以内に売却・譲渡・処分するときは、IPAの事前承認が必要。承認なしに処分すると、売り手と買い手が、免除された関税額の2倍を連帯して支払う責任を負う
  • 関税は、相手や理由によって、かからない場合と、正味簿価(NBV)を基準にかかる場合がある
  • 輸入から5年を過ぎた後の処分は、IPAへの事前通知が必要。通知は手続き上の要件で、税金が一律に免除されるわけではない
  • 売却時のVATは、関税とは別に、買い手の区分(REE・高付加価値DMEか、それ以外の登録DMEか)で判断する
  • IPAに登録されていない事業活動に関連する国内販売(材料・設備のスクラップの販売を含む)は12%のVATの対象で、売り手が申告・納付する(RR 1-2026)

免税で輸入できるもの

CREATE MORE法のIRR(Rule 2, Sec. 2)では、RBEが登録プロジェクトのために輸入する資本設備・原材料・スペアパーツ・付属品は、次の条件を満たす場合に限り、関税が免除されます(管理目的で使う物品を含む)。

  • 登録プロジェクトに直接帰属する物品であること
  • 国内で、十分な量または同等の品質で、妥当な価格で製造されていないこと

輸入VATの免税と国内購入のVATゼロレートは、REEと高付加価値DMEの、登録プロジェクトに直接帰属する物品・サービスに限られます(Rule 2, Sec. 3)。

輸入の前には、IPAからCAI(Certificate of Authority to Import)による承認を取る必要があります。CAIは譲渡できず、無効・取消しがなく、IPAが別の期間を定めていない限り、発行から1年間有効です。前年のCAIに含まれ、翌年も輸入が見込まれる品目については、関連プロジェクトが引き続き関税・VATの優遇を受ける資格を持ち、必要な更新料を支払っていることなどを条件に、IPAがCAIの自動更新を認める場合があります。関税局(BOC)は、実際の輸入書類の品目が承認済みのCAIに載っているかを確認し、載っていなければ関税と税金を課します。

輸入から5年以内の売却・譲渡・処分

免税で輸入した物品を、輸入から5年以内に売却・譲渡・処分するときは、関連するIPAの事前承認を取る必要があります(Rule 10, Sec. 5)。承認を得た場合の扱いとして、Rule 10, Sec. 5には次のように定められています。輸入VATの免税で輸入した物品の売却などについては、Rule 2, Sec. 3にもVATの規定があるため、この表だけでVATがかからないと判断することはできません。

処分の相手・理由 Rule 10, Sec. 5に記載された扱い
同じ物品について関税免除を受けられる他の企業との取引 かからない
汚染防止のための輸出 かからない
フィリピン政府・政府機関への寄付 かからない(輸入関税と贈与税を含めて免除)
免税措置を受けていない他の企業との取引 正味簿価(Net Book Value)を基準に、関税と税金がかかる
技術的な陳腐化が証明された場合 正味簿価を基準に、関税と税金がかかる

売却時のVATは、後述の「売却時のVAT」で説明する規定(Rule 2, Sec. 3)で、買い手の区分によって別に判断します。

事前承認なしに処分した場合:関税2倍の連帯責任

輸入から5年以内に、必要なIPAの事前承認を得ずに売却・譲渡・処分した場合、登録企業と、買い手・譲受人は、輸入時に支払うはずだった関税額(実際には免除された額)の2倍を、連帯して支払う責任を負います(Rule 10, Sec. 6)。買い手側も責任を負うため、RBEから中古設備を購入する企業も注意が必要です。

輸入から5年を過ぎた後の処分

輸入から5年を過ぎた後に売却・譲渡・処分するときは、関連するIPAに事前に通知します。この通知は手続き上の要件で、売却時のVATなどが一律に免除されることを意味するものではありません。また、登録企業が登録の条件に違反していた場合は、IPAに通知したかどうかにかかわらず、正味簿価を基準とする関税と、その売却・処分にかかる税金を支払う義務を負います。

売却時のVAT

輸入VATの免税で輸入した資本設備・原材料・スペアパーツ・付属品を売却・譲渡・処分するときのVATは、買い手の区分によって変わります(Rule 2, Sec. 3)。

買い手 VAT
登録輸出型企業(REE)、登録高付加価値DME 立地を問わず、ゼロレート
登録DME(高付加価値DMEに当たるものを除く) 立地を問わず、正味簿価を基準に12%

DMEとは、REE以外の登録企業のことです。買い手がどの区分で登録され、VATの優遇を受けているかを、取引の前に確認してください。

登録企業から、DMEや非登録企業への国内販売では、買い手がVATを納付する「買主納付」の対象となる取引と、売り手が申告・納付する取引を区別する必要があります。たとえばRR 1-2026では、VAT登録されたDMEで、国内購入のVATゼロレートや輸入VAT免税の対象とならない売り手の国内販売は、買主納付の対象から除かれ、売り手が通常のVAT納税者として申告・納付します。税率・課税標準と、VATを申告・納付するのが誰かは、分けて確認してください。詳しくは「PEZA登録企業の国内販売VAT12%と買主納付」をご参照ください。

買主納付の対象となるゾーンからの物品の購入では、納付済みのBIR Form 0605が、ゾーンからの搬出の要件の一部になります(BOC CMC 113-2025)。物品を一括で出荷し、その出荷に複数のインボイスが含まれる場合は、買い手は対象のVATをまとめて1回で納付できます。その場合は、すべてのインボイスをカバーするBIR Form 0605とインボイスの一覧を、搬出前にBOCへ提出します(RR 1-2026)。なお、関税や物品税など、VAT以外の税金は、引き続きBOCの管轄です(「関税・物品税の実務」)。

登録外の事業に使う場合

免税で輸入した物品を、輸入から5年以内に、登録企業の登録されていないプロジェクトに使う場合は、IPAの事前承認を取り、輸入時に免除された関税に相当する金額を支払います(Rule 10, Sec. 7)。一部だけを登録外のプロジェクトに使う場合は、その使用割合に応じた金額を支払います。配分の方法は、CAIの申請時に、最も適切な方法を採用します。免除された関税に相当する金額の報告書は、BIRとBOCに提出する必要があります。

未登録の事業に関連するスクラップ販売は12%のVAT(RR 1-2026)

2026年3月3日に有効となったRR 1-2026は、登録企業であっても、IPAに登録されていない事業活動に関連する国内販売は、12%のVATの対象になると定めています。材料や設備のスクラップの販売も、その例として挙げられています。この場合、買い手がVATを納付する買主納付ではなく、売り手である登録企業が、通常のVAT納税者としてVATを申告・納付します。

端材・不良品・廃棄設備などのスクラップを売却している場合は、その販売が登録された事業活動に当たるか、登録されていない事業活動に関連するものかを確認し、後者であれば12%のVATで申告・納付しているかを確認してください。スクラップの元になった物品が免税で輸入したものである場合は、上記の処分のルール(5年以内の事前承認など)もあわせて確認が必要です。

実務で確認しておくこと

以下は、上記の規定を踏まえた管理上の提案です。

  1. 免税輸入の情報をひも付ける:固定資産台帳や在庫管理の記録に、輸入日、CAI番号、免除された関税額・VAT額を、品目ごとにひも付ける
  2. 5年の期限を管理する:売却・廃棄・移設を計画したら、まず輸入から5年以内かを確認する
  3. 事前承認・事前通知の手続きを先に行う:5年以内はIPAの事前承認、5年経過後はIPAへの事前通知
  4. 買い手の登録区分を確認する:関税の扱いとVATの扱いを、それぞれ確認する
  5. 正味簿価の計算根拠を残す:課税の基準になるため、減価償却の記録と整合させる
  6. 技術的な陳腐化を理由にする場合は、その証明を用意する
  7. スクラップ販売のVAT処理を確認する:登録されていない事業活動に関連する販売なら、12%のVATで申告・納付しているか

よくある質問

輸入から5年以内に、免税輸入した設備を関連会社へ売却・譲渡できますか?

IPAの事前承認を得れば可能です。相手が同じ物品について関税免除を受けられる企業であれば、Rule 10では関税・税金を課さないとされています。免税措置を受けていない企業であれば、正味簿価を基準に関税と税金がかかります。ただし、売却時のVATは、Rule 2, Sec. 3の規定で、相手の登録区分によって別に判断する必要があります。単なる一時的な移設や貸与の扱いは、個別にIPAに確認してください。

古くなった設備を廃棄するだけでも、手続きは必要ですか?

輸入から5年以内であれば、廃棄(処分)にもIPAの事前承認が必要です。技術的な陳腐化が証明された場合は、正味簿価を基準に関税と税金がかかります。5年を過ぎていれば、IPAへの事前通知が必要です。

承認を取らずに処分された中古設備を買った場合、買い手にも責任がありますか?

はい。輸入から5年以内に、必要なIPAの事前承認なしで売却・譲渡された場合、売り手の登録企業と、買い手・譲受人が、免除された関税額の2倍を連帯して支払う責任を負います。

スクラップの販売に、VATはかかりますか?

IPAに登録されていない事業活動に関連するスクラップの販売は、12%のVATの対象になり、売り手の登録企業が通常のVAT納税者として申告・納付します。

まとめ

免税で輸入した設備や原材料の処分は、輸入から5年以内かどうか、IPAの承認・通知を得ているか、相手がどの区分の企業かによって、関税とVATの扱いが変わります。輸入から5年以内に必要なIPAの事前承認を得ずに処分すると、買い手・譲受人を含めて、免除された関税額の2倍を連帯して支払う責任が生じるため、設備の入替えや拠点の再編を計画した段階で、手続きを先に確認してください。カメリアコンサルティングでは、PEZA・BOI登録企業の資産処分やスクラップ販売の税務を支援しています。

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執筆・監修:日比野和樹

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