源泉税(CWT)の還付と過誤納の還付|申請先、申請期限とBIRの処理期間(RMC 102-2026・103-2026、RMO 25-2026)

BIRは、税額の還付(タックスクレジット・現金還付)の申請先と手続きを見直す通達を公表しました。RMC 102-2026は、源泉徴収された所得税(CWT)の超過・未利用分の還付について、申請先・期限と必要書類のチェックリストを改めました。RMC 103-2026とRMO 25-2026は、誤って納めた税金(過誤納)の還付について、申請先と、受付・審査・承認の体制を改めています。いずれも即日有効です。CWTの超過分が毎年たまっている日系子会社や、撤退・清算を予定している企業に関係する内容です。

RMC 102-2026は2026年8月3日付、RMC 103-2026は8月5日付、RMO 25-2026は9月29日付で、BIRの受付はいずれも2026年9月29日です。RMC 102・103は、法務グループ(Legal Group)の権限に属する請求を対象外としています。

目次

この記事の要点

  • CWTの超過分の還付(内国歳入法第76条(C))も、過誤納の還付(第204条(C))も、申請(BIR Form 1914)は、管轄のRDO、またはLTS(大規模納税者サービス)のLTAD/LTDに提出する
  • CWTの還付:年次所得税申告書(AITR)で「翌期に繰り越す」を選ぶと、その課税期間について撤回できず、還付は受けられない(事業を完全にやめた場合は例外)
  • CWTの還付(継続企業):申請はAITRの提出から2年以内。BIRの180日の処理期間は、Form 1914と必要書類一式を提出した時点から数える
  • CWTの還付(解散・廃業):BIRは、登録抹消の申請(Form 1905)と、廃業・還付に必要な書類一式の提出から2年以内に、申請を決定し、タックスクレジットの発行または還付を行う
  • CWTの還付では、該当するチェックリスト(Annex)の書類がすべてそろった申請だけが受け付けられる
  • 過誤納の還付:資本資産である不動産の売却にかかるキャピタルゲイン税(CGT)と、関連するDSTは、物件の所在地のRDOに申請する

CWTの超過分の還付(RMC 102-2026)

CWTは、取引先が支払いの際に源泉徴収し、受け取った側が所得税から差し引くことのできる税金です。法人では、年間の法人税を上回るCWTが生じた場合などに、超過分(または未利用分)が出ます。RMC 102-2026は、この還付(第76条(C))について、RMC 75-2024(RMC 14-2025で改正)を改めました。

申請先:還付の申請(BIR Form 1914)は、納税者を管轄する次のいずれかに提出します。

  • 管轄のRDO
  • LTSの大規模納税者監査課(LTAD)または大規模納税者課(LTD)

繰越か還付かの選択(撤回不可ルール):AITRで超過分が生じたとき、翌期以降の四半期の所得税に充当する(繰り越す)か、還付を申請するかを選びます。一度「繰り越す」を選ぶと、その課税期間については撤回できず、還付の申請は認められません。ただし、事業を完全にやめた場合は、繰り越しを選んでいても還付を申請できます。

継続企業:申請者の期限と、BIRの処理期間

  • 申請者の期限:AITRで還付を選んだ継続企業は、AITRの提出から2年以内に還付を申請します。超過を示した申告書自体が書面による還付請求とみなされますが、Form 1914と必要書類一式も、この2年の期間内に提出する必要があります
  • BIRの処理期間:第204条(C)の180日は、Form 1914と、BIRが定める必要書類一式を提出した時点から数えます

解散・廃業:BIRの決定・還付の期間

第76条(C)により、解散・廃業の場合、処理する部署は、解散・廃業の日から2年以内に申請を決定し、タックスクレジットの発行または還付を行うことになっています(第204条(C)の180日の例外)。RMC 102-2026では、この2年を、登録情報の更新・抹消の申請(BIR Form 1905)と、廃業と還付に必要な書類一式を提出した時点から数えるとしています。

書類がそろっていない申請は受け付けない:CWTの還付では、チェックリストの書類がすべてそろった申請だけが、受け付け・処理されます(個人以外の継続事業者はAnnex A.1.1、個人の継続事業者はAnnex A.1.2、解散・廃業の場合はAnnex A.2)。

過誤納の還付(RMC 103-2026・RMO 25-2026)

誤って、または違法に徴収された税金や、権限なく課された罰則の還付(第204条(C)・第229条)について、RMC 103-2026(RMC 74-2024の改正)とRMO 25-2026(RMO 27-2024の改正)は、申請先と処理の担当を次のように定めました。

還付の種類 申請先
資本資産に分類される不動産の売却にかかるCGTと、それに関連するDST 不動産の所在地を管轄するRDO
その他の過誤納の還付 納税者を管轄するRDO、またはLTSのLTAD/LTD

RMO 25-2026では、申請は、その日の受付担当の調査官(RO of the Day)が受け取り、提出時に書類がそろっているかを確認します。審査と承認は、金額にかかわらず次の担当が行います。

処理 審査 承認
RDO Assessment Division Regional Director
LTAD/LTD Head Revenue Executive Assistant(HREA)、LTS Assistant Commissioner(ACIR)、LTS

実務で確認しておくこと

  1. 繰越か還付かを、AITRの提出前に決める:CWTの超過分は、繰り越しを選ぶと撤回できない。超過が毎年続くなら、還付の申請も検討する
  2. CWTの還付は、2年の期限を管理する:AITRの提出日から2年以内に、Form 1914と必要書類一式を提出する
  3. 必要書類を、該当するAnnexで確認して先にそろえる
  4. 撤退・清算を予定している場合:Form 1905と、廃業・還付の必要書類一式の提出が、BIRの決定・還付の2年の起算点になる。清算の計画に還付の手続きを組み込む
  5. 申請先を確認する:大規模納税者はLTSのLTAD/LTD、それ以外はRDO。資本資産である不動産の売却にかかるCGTと関連するDSTは、物件の所在地のRDO

よくある質問

毎年CWTの超過が出ていますが、繰り越しのままでよいですか?

繰り越しを選ぶと、その課税期間について還付は受けられません。超過が毎年続き、充当しきれない見込みであれば、還付の申請も含めて検討することをおすすめします。

継続企業のCWT還付の180日は、いつから数えますか?

Form 1914と、BIRが定める必要書類一式を提出した時点から数えます。書類がそろっていない申請は受け付けられません。

会社を清算する場合、CWTの還付はどうなりますか?

繰り越しを選んでいた場合でも、事業を完全にやめれば還付を申請できます。BIRは、Form 1905と、廃業・還付に必要な書類一式の提出から2年以内に、申請を決定し、タックスクレジットの発行または還付を行います。

まとめ

CWTの還付では、申請期限・BIRの処理期間と必要書類が、過誤納の還付では、申請先と処理の体制が整理されました。CWTの還付は、書類がそろっていないと受け付けられないため、AITRの提出前に繰越か還付かを決め、該当するチェックリストの書類を早めにそろえることが大切です。カメリアコンサルティングでは、源泉税の還付申請や、撤退時の税務手続きを支援しています。

あわせて読みたい

執筆:五十嵐碧/監修:日比野和樹

目次