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【2026-2027年版】フィリピンの税務・会計 申告期限カレンダー|月次・四半期・年次の全提出物と、延長された年の読み方
フィリピンの税務・会計コンプライアンスは、月次・四半期・年次の3層構造で提出物が積み重なる仕組みで、年によっては法定期限そのものがBIR通達で延長されることもあります。2025年分の年次所得税申告(AITR)はRMC 30-2026により当初期限の4月15日から5月15日へ延長されました。本記事では、年間を通じて発生する主な提出物を一覧化し、延長が発表された年にどう読み替えればよいかを整理します。
この記事の要点
- フィリピンの税務・会計提出物は、月次(源泉税等)・四半期(VAT・源泉税・法人税の中間申告)・年次(法人税確定申告・監査済財務諸表)の3層構造
- 2025年分のAITR(年次所得税申告)は、RMC 30-2026により法定期限の4月15日から5月15日へ延長された
- SEC提出のAFS(監査済財務諸表)は、SEC Memorandum Circular No. 9-2026により12月決算法人はeFAST経由で2026年5月29日が期限
- GIS(一般情報シート)はAFSと異なり「実際に開催された年次株主総会の30日後」が起算点で、固定の暦日ではない
- 延長は「その年・その様式に固有」であり、翌年も同じ延長があるとは限らないため、毎年BIR・SECの通達を個別に確認する必要がある
- 地方税(Mayor’s Permit等)の更新期限は国税のスケジュールとは別建てで、原則として毎年1月が目安
最終更新日:2026年9月。BIR・SECの年次通達により期限が変更された場合は随時更新します。
フィリピンの税務全体の位置づけについては「フィリピンの税務完全ガイド」もあわせてご参照ください。
3層構造で押さえる:月次・四半期・年次の提出物
フィリピンの税務・会計実務における提出物は、大きく月次・四半期・年次の3層に分かれます。月次では主に源泉税の納付、四半期ではVAT・源泉税・法人税の中間的な申告、年次では法人税の確定申告と監査済財務諸表・一般情報シートの提出が中心になります。日系現地法人の実務では、これらの提出物を誰が(現地会計担当者か、外部の記帳代行事務所か)、いつまでに準備するかを社内カレンダーとして明文化しておくことが、期限徒過による加算税・延滞利息を防ぐ最も基本的な対策です。以下、頻度ごとに主な提出物を整理します。
月次の提出物
| 様式 | 内容 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| BIR Form 0619-E | 拡大源泉税(EWT)の月次納付 | 翌月10日(eFPS利用者は業種により11〜15日) |
| BIR Form 0619-F | 最終源泉税(FWT)の月次納付 | 翌月10日(eFPS利用者は業種により11〜15日) |
| BIR Form 1601-C | 給与所得に対する源泉税の月次納付 | 翌月10日(eFPS利用者は業種により11〜15日) |
なお、四半期の最終月(3月・6月・9月・12月)については、0619-E・0619-Fの月次納付を行わず、四半期申告(1601-EQ)にまとめて申告・納付する運用になっている点に注意が必要です。源泉税の税率区分そのものについては「源泉税率一覧表」で詳しく解説しています。
四半期の提出物
| 様式 | 内容 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| BIR Form 2550Q | VATの四半期申告 | 各四半期終了後25日以内 |
| BIR Form 1601-EQ | 拡大源泉税(EWT)の四半期申告(QAP添付) | 各四半期終了後の月の末日 |
| BIR Form 1601-FQ | 最終源泉税(FWT)の四半期申告 | 各四半期終了後の月の末日 |
| BIR Form 1702Q | 法人税の四半期申告(中間申告) | 各四半期終了後60日以内 |
| BIR Form 2551Q | パーセンテージ税の四半期申告(VAT非登録事業者) | 各四半期終了後25日以内 |
なお、1601-FQ・1603Q・1702QをオフラインのeBIRFormsで作成する場合は、RMC No. 104-2026で公開されたVersion 7.9.6.2を使用する必要があります。詳細は「eBIRForms 7.9.6.2公開と零細納税者の一括減免」をご覧ください。
年次の提出物
| 様式・書類 | 内容 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| BIR Form 1702-RT等 | 法人税の年次確定申告(AITR) | 課税年度終了後4か月目の15日(暦年決算なら翌年4月15日が原則) |
| 監査済財務諸表(AFS) | BIR・SEC双方への提出 | AITRと同時(BIR)、SEC提出は別途スケジュール(後述) |
| BIR Form 1604-C | 給与所得の年次アルファリスト | 翌年1月31日 |
| BIR Form 1604-E | 拡大源泉税の年次アルファリスト | 翌年3月1日 |
| BIR Form 1604-F | 最終源泉税の年次アルファリスト | 翌年1月31日 |
| 一般情報シート(GIS) | SECへの株主・役員構成等の報告 | 年次株主総会の30日後(後述) |
2025年分AITRの延長:RMC 30-2026をどう読むか
2025年分の年次所得税申告(AITR)については、BIRがRMC 30-2026により法定期限を当初の2026年4月15日から2026年5月15日へ延長すると発表しました。このような延長は、あくまで「その課税年度・その様式に固有」の措置であり、翌年以降も同じ延長が自動的に繰り返されるわけではありません。実務上重要なのは、延長が発表された場合でも、延長された期限までに提出すればよいのは当該様式(AITR)に限られ、連動する可能性のある他の様式(移転価格文書化の関連ではForm 1709の提出期限など)については、別途の通達で明示的に延長が言及されているかを個別に確認する必要がある点です。移転価格文書化に関するForm 1709の提出義務・期限については「移転価格文書化の実務」で解説しています。延長を前提にスケジュールを組むのではなく、原則期限に向けて準備を進めたうえで、延長が発表されればその分を「バッファ」として扱う姿勢が実務上は安全です。
SEC提出:AFSとGISは起算点が異なる
BIRへの提出とは別に、SECへの監査済財務諸表(AFS)と一般情報シート(GIS)の提出義務があり、この2つは起算点の考え方が異なります。AFSについては、SEC Memorandum Circular No. 9-2026により、12月決算の法人はeFAST(電子申請・提出システム)経由で2026年5月29日までに提出することとされています。これはBIRへのAITR提出期限とは別建てのスケジュールである点に注意が必要です。一方、GISは暦日で固定された期限ではなく、「実際に開催された年次株主総会の日から30日以内」に提出するという起算方式が採られています。したがって、株主総会の開催が遅れれば遅れるほどGISの提出期限も後ろ倒しになりますが、逆に株主総会自体をいつまでに開催すべきかは定款・会社法上の規定に従う必要があります。日系現地法人の実務では、AFSの提出期限(暦日固定)とGISの提出期限(総会日起算)を混同し、後者を前者と同じ日付で管理してしまうケースが見られるため、両者を別のタスクとして管理することをおすすめします。SEC提出書類の詳細な様式・記載事項については、既存記事「フィリピンの2024年監査済み財務諸表(AFS)および一般情報シート(GIS)の提出」もあわせてご参照ください。
地方税・Mayor’s Permitは国税と別スケジュール
ここまで解説してきた国税(BIR)・SEC関連の提出物とは別に、地方税務署(LGU)への事業税納付とMayor’s Permit(営業許可証)の更新があり、これは原則として毎年1月が更新期限の目安になります。国税のカレンダーだけを管理していると、この地方税・許可更新のタイミングを見落としがちなため、別建てのスケジュールとして管理する必要があります。Mayor’s Permit更新の具体的な必要書類・実務フローについては「地方税・Mayor’s Permit更新の実務」で詳しく解説しています。
よくある質問
AITRの期限が延長されたら、他の様式の期限も自動的に延長されますか?
いいえ。延長はその年・その様式に固有の措置です。他の様式(Form 1709等)について延長が及ぶかは、別途の通達で明示されているかを個別に確認する必要があります。
AFSはBIRとSECの両方に提出する必要がありますか?
はい。BIRへはAITRと同時に提出し、SECへは別途eFAST経由での提出期限(12月決算法人は2026年5月29日が目安)が定められています。
GISの提出期限はいつになりますか?
暦日で固定されているわけではなく、実際に開催された年次株主総会の日から30日以内が期限です。総会の開催時期によって毎年変動します。
四半期の最終月も0619-E・0619-Fを申告する必要がありますか?
いいえ。3月・6月・9月・12月については月次の0619-E・0619-F申告を行わず、四半期申告(1601-EQ・1601-FQ)にまとめて申告・納付します。
地方税の更新期限も国税と同じですか?
いいえ。Mayor’s Permit等の地方税・許可更新は原則として毎年1月が目安で、国税のスケジュールとは別に管理する必要があります。
まとめ・専門家への相談
フィリピンの税務・会計コンプライアンスカレンダーは、月次・四半期・年次という基本構造に加えて、年によってはBIRの通達による期限延長や、SEC提出物の起算方式の違い(暦日固定のAFSと総会日起算のGIS)といった細かな読み替えが必要になります。日系現地法人では、これらの提出物を誰がいつまでに準備するかを社内文書として明文化し、延長発表があった場合の対応フローもあらかじめ決めておくことが、期限徒過リスクを最小化する実務上のポイントです。自社の提出スケジュールの整備については、専門家への相談をおすすめします。カメリアコンサルティングでは、日系企業の税務・会計コンプライアンスカレンダー整備の支援にも対応しています。
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執筆・監修:日比野和樹
