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【RMC 104-2026】eBIRForms 7.9.6.2公開|零細納税者の一括減免(RR 4-2026)の納付コード追加と、1601-FQ・1603Q・1702Qの修正点【2026年10月】
BIRは2026年9月24日付のRMC No. 104-2026で、オフライン版eBIRFormsの新バージョン7.9.6.2を公開しました。今回の更新の中心は、零細納税者(Micro Taxpayer)向けの「一回限りの税額・ペナルティ減免制度」(RR No. 4-2026)の手数料をForm 0605で納付するための納付コード(ATC:MC350・MC351)の追加です。あわせて、Form 1601-FQ・1603Q・1702Q・1801の不具合も修正されており、これらの様式をeBIRFormsで申告している企業は、次回の四半期申告の前に新バージョンへ切り替える必要があります。本記事では、更新内容と旧バージョンの扱い、背景にある減免制度の要件、日系企業への実務上の影響を整理します。
この記事の要点
- RMC No. 104-2026により、オフライン版eBIRFormsパッケージVersion 7.9.6.2がBIRのウェブサイトで公開された
- Form 0605に、零細納税者の一括減免用の納付コードMC350(個人)・MC351(法人)と、税目コードMA(Micro Taxpayer Abatement)が追加された
- Form 1601-FQ、1603Q(v2018)、1702Q(v2018C)、1801(v2018)の不具合が修正された。これらの様式は旧バージョン(7.9.6.0・7.9.6.1)ではなく新バージョンで作成する必要がある
- 背景の減免制度(RR No. 4-2026)は、年間売上300万ペソ未満の零細納税者が、2025年12月31日時点で存在する税額・ペナルティ(1課税年度あたり合計8万ペソ以下)を、5,000ペソの手数料で一括して精算できる制度。申請期限は2026年12月31日
- 多くの日系現地法人は売上要件を満たさないが、休眠中・清算予定の法人や小規模な新設法人では、未解決の申告漏れ案件の整理に使える可能性がある
最終更新日:2026年10月。BIRから追加の通達が出た場合は随時更新します。
フィリピンの税務全体の位置づけについては「フィリピンの税務完全ガイド」もあわせてご参照ください。
RMC No. 104-2026の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通達 | Revenue Memorandum Circular No. 104-2026 |
| 日付 | 2026年9月24日 |
| 件名 | Availability of Offline eBIRForms Package Version 7.9.6.2 |
| 対象 | オフライン版eBIRForms(BIRのウェブサイトからダウンロード) |
| 主な変更 | Form 0605への減免用ATC・税目コードの追加、Form 1601-FQ・1603Q・1702Q・1801の不具合修正 |
| 旧バージョン | 7.9.6.0・7.9.6.1は引き続き利用可能。ただし今回修正された様式を除く |
アップデートの3つの内容
1. Form 0605への減免用ATCの追加
Form 0605(Payment Form)で選択できる納付コード(ATC)に、次の2つが追加されました。いずれも、後述するRR No. 4-2026の一括減免制度で求められる5,000ペソの手数料を納付するためのコードです。
- MC350:One-Time Abatement of Taxes and/or Penalties for Micro Taxpayers(個人)
- MC351:One-Time Abatement of Taxes and/or Penalties for Micro Taxpayers(法人)
2. 税目コード「MA」の追加
同じくForm 0605に、税目コード(Tax Type Code)として「MA:Micro Taxpayer Abatement」が追加されました。減免手数料を納付する際は、税目コードMAとATC(MC350またはMC351)を組み合わせて選択することになります。
3. 四半期申告書などの不具合修正
次の4様式について、報告されていた不具合の修正が行われました。
- Form 1601-FQ(最終源泉税の四半期申告)
- Form 1603Q v2018(フリンジ・ベネフィット税の四半期申告)
- Form 1702Q v2018C(法人所得税の四半期申告)
- Form 1801 v2018(遺産税申告)
このうち1601-FQ・1603Q・1702Qは、日系現地法人でも日常的に使う四半期申告書です。日本本社への配当・使用料・利子に対する最終源泉税、駐在員向けのフリンジ・ベネフィット税、法人所得税の中間申告が該当します。
旧バージョン(7.9.6.0・7.9.6.1)は使い続けられるか
RMC No. 104-2026では、旧バージョンの7.9.6.0と7.9.6.1も引き続き利用でき、申告書の作成・検証・電子提出に使えるとされています。ただし、今回の修正・機能追加の対象になった様式は除かれます。実務上は次のように整理できます。
| 作成する様式 | 使用するバージョン |
|---|---|
| Form 0605(減免手数料の納付:MC350・MC351) | 7.9.6.2が必要 |
| Form 1601-FQ、1603Q、1702Q、1801 | 7.9.6.2で作成する |
| 上記以外の様式(0619-E、1601-EQ、2550Qなど) | 7.9.6.0・7.9.6.1も引き続き利用可能 |
混乱を避けるには、社内の申告用PCを7.9.6.2に統一してしまうのが確実です。なお、eFPS(電子申告納税システム)で申告している企業は、今回のオフライン版パッケージの更新による直接の影響はありません。ただし、eFPSの障害時などにeBIRFormsで代替申告する場合に備えて、新バージョンを入れておくと安心です。
背景:零細納税者の一括減免制度(RR No. 4-2026)とは
今回のATC追加の背景にあるのが、2026年6月に公表され7月から施行されたRR No. 4-2026による「一回限りの税額・ペナルティ減免制度」(One-Time Abatement of Taxes and/or Penalties for Micro Taxpayers)です。内国歳入法第204条に基づく減免権限を根拠に、少額の滞納や申告漏れを抱えた零細納税者が、定額の手数料で過去の案件を一括して精算できるようにする制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 零細納税者(Micro Taxpayer):年間の総売上・受取額が300万ペソ未満 |
| 対象となる税額 | 2025年12月31日時点で存在する税額・ペナルティ |
| 上限額 | 本税とペナルティの合計で、1課税年度あたり8万ペソ以下(案件ごとではなく、その年度の全案件の合計) |
| 手数料 | 1課税年度(1申請)あたり5,000ペソ。Form 0605で納付。返金不可 |
| 申請期限 | 2026年12月31日(財務長官による延長があり得る) |
| 申請先 | 管轄のRDO(Revenue District Office) |
| 承認後 | Certificate of Availment(利用証明書)が発行され、対象案件がクローズされる |
対象となる案件
公表されている解説によると、対象には次のような案件が含まれます。
- 滞納中の税額(Delinquent Accounts)
- 予備的・最終的な更正通知(PAN・FAN等)による税額。係争中のものを含む
- 申告が途絶えている「Stop-Filer」案件
- BIR・司法省・裁判所で係属中の案件、和解(Compromise)や過去の減免申請が保留になっている案件
- 本税がなくペナルティのみが発生している案件
- すでに事業を停止した納税者の未解決案件
一方、すでに裁判所に起訴されている刑事事件(脱税事件等)は対象外です。
申請の流れ
- 管轄RDOで、課税年度ごとの未解決案件と金額(Statement of Account)を確認する
- 課税年度ごとに所定の申請書(One-Time Abatement Application Form)をRDOに提出する
- 申請から5営業日以内に、Form 0605(税目コードMA、ATCはMC350またはMC351)で5,000ペソを納付する
- 納付から5営業日以内に、納付証明をRDOに提出する。期限内に提出しないと申請は無効になる
- 確認後、Certificate of Availmentが発行され、対象案件がクローズされる
複数の課税年度に未解決案件がある場合は、年度ごとに申請と5,000ペソの手数料が必要です。
開始2か月の利用状況
BIRの発表によると、2026年9月18日時点で1,352の納税者から6,234件の申請があり、5,000件が承認されました。減免の対象となった税額・ペナルティは約8,450万ペソ、納付された手数料は約2,480万ペソです。1納税者あたり平均4〜5年度分を申請している計算になり、複数年分の申告漏れをまとめて整理する目的で使われていることがうかがえます。
日系企業への実務上の影響
多くの日系現地法人は減免制度の対象外
年間売上300万ペソ未満という要件から、通常の事業を営む日系現地法人の多くは零細納税者に該当せず、減免制度は利用できません。日系企業にとっての今回のRMCの主な影響は、四半期申告書(1601-FQ・1603Q・1702Q)のeBIRFormsを新バージョンに切り替えることです。
休眠中・清算予定の法人では使える可能性がある
一方で、次のようなケースでは減免制度を検討する価値があります。
- 事業を停止して休眠状態になっており、その間の申告が途絶えてStop-Filer案件が残っている法人
- 清算・登録抹消を予定しているが、過去の少額の申告漏れやペナルティが残っていてTax Clearanceを取得できない法人
- 設立から間もなく売上が小さいうちに、申告の遅延やペナルティが発生した小規模な法人
特に清算案件では、BIRの登録抹消手続を定めたRMC No. 47-2026により、零細納税者は閉鎖時の税務調査が原則として不要になり、未解決の義務がなければ短期間でTax Clearanceが発行される仕組みになりました。過去の少額の未解決案件を減免制度で先に整理しておけば、閉鎖手続をスムーズに進められる可能性があります。ただし、対象になるかどうかは課税年度ごとの売上と未解決案件の金額によるため、まずRDOで年度ごとの案件内容を確認することが出発点になります。
直近の四半期申告スケジュール
| 様式 | 対象期間 | 期限(原則) |
|---|---|---|
| Form 1601-FQ | 2026年第3四半期(7〜9月) | 2026年10月31日 |
| Form 1603Q | 2026年第3四半期(7〜9月) | 2026年10月31日 |
| Form 1702Q | 暦年決算法人の2026年第3四半期 | 四半期終了後60日以内(2026年11月29日) |
期限が休日に当たる場合は翌営業日になります。いずれもeBIRFormsで作成する場合は7.9.6.2を使用してください。年間の申告スケジュール全体は「フィリピンの税務・会計 申告期限カレンダー」で整理しています。
よくある質問
旧バージョンのeBIRFormsで作成した1702Qはどうなりますか?
RMC No. 104-2026では、今回修正された様式は旧バージョンの利用継続の対象から除かれています。これから作成する1601-FQ・1603Q・1702Q・1801は7.9.6.2で作成してください。すでに旧バージョンで提出済みの申告書の扱いについて不安がある場合は、管轄RDOに確認することをおすすめします。
eFPSで申告している場合も更新が必要ですか?
オフライン版eBIRFormsの更新のため、eFPSでの申告には直接影響しません。eFPSの障害時などにeBIRFormsで代替申告する可能性がある場合は、新バージョンを用意しておくと安心です。
減免制度の上限8万ペソは何を基準に判定しますか?
1課税年度ごとに、その年度の全案件の本税とペナルティを合計した金額で判定します。案件ごとの上限ではない点に注意が必要です。
減免制度は日系の現地法人でも使えますか?
年間売上300万ペソ未満の零細納税者であれば、法人でも利用できます(ATCはMC351)。通常の事業を営む日系現地法人の多くは該当しませんが、休眠中・清算予定の法人や小規模な新設法人では対象となる可能性があります。
手数料5,000ペソはどこで納付しますか?
Form 0605で、税目コードMA、ATCはMC350(個人)またはMC351(法人)を選択して納付します。申請から5営業日以内に納付し、その後5営業日以内に納付証明をRDOへ提出する必要があります。
まとめ・専門家への相談
RMC No. 104-2026は、一見するとシステム更新の告知にすぎませんが、日系企業にとっては四半期申告書(1601-FQ・1603Q・1702Q)の作成環境を新バージョンに切り替える必要がある実務的な通達です。また、背景にあるRR No. 4-2026の一括減免制度は、休眠中・清算予定の法人に残る少額の未解決案件を整理する数少ない機会であり、申請期限は2026年12月31日です。カメリアコンサルティングでは、四半期申告の対応から、休眠法人・清算予定法人の未解決案件の整理、登録抹消手続まで、日系企業の税務実務を支援しています。
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執筆・監修:日比野和樹
