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【速報】EDRの適用条件が明確に|DOF DO 026-2026(RMC 105-2026)と、エネルギー非常事態のRBE向け一時措置(RMC 101-2026)
BIRは、財務省(DOF)のDepartment Order No. 026-2026を、RMC 105-2026で公表しました。CREATE MORE法(RA 12066)の追加控除レジーム(EDR)を使うための条件、つまり、どの費用が対象になるか、どう配賦するか、どんな書類が必要かを定めたものです。あわせて、RMC 101-2026では、国家エネルギー非常事態で影響を受けた登録企業(RBE)向けの一時措置(FIRB決議011-26)も公表されました。PEZA・BOI登録企業を含め、EDRの適用を受ける日系企業に関係する内容です。
RMC 105-2026は2026年8月12日付、BIRの受付は2026年9月29日です。
この記事の要点
- 対象は、EDRを付与された国内市場向け企業(DME。高付加価値DMEを含む)、登録時にEDRを選んだ登録輸出型企業(REE)、CREATE MORE法で登録を移行してEDRを選んだ旧制度の登録企業
- 証憑と報告(NCSRを含む)の要件は、2026年12月31日以後に終了する課税年度から厳格に適用される
- 関連者取引から生じる追加控除は、原則として認められない(独立企業間であることを書類で示し、各控除の要件も満たす場合を除く)
- 追加控除の内容を、公証済みの総括報告書(NCSR)でIPAに提出する。期限は年次ITRの提出から30暦日以内、または年次ITRの法定期限のいずれか遅い日
- FIRB決議011-26:エネルギー非常事態で事業が影響を受けたRBEについて、IPAは、ITH・SCIT・EDRの適用の繰延べや、商業運転の開始日の変更を認められる(2026年3月24日から1年間)
DO 026-2026とは
CREATE MORE法の下で、登録企業は、ITH(法人所得税の免除)の後、またはITHを使わずに、SCITかEDRの優遇を受けます(SCITを選べるのは登録輸出型企業だけです)。EDRでは、法人税率が20%になるほか、減価償却・労務費・研究開発費・研修費・国内投入費用・電力費などに追加の控除が認められます(制度の全体像は「CREATE MORE法で優遇税制はこう変わった」)。
DO 026-2026は、この追加控除を実際の申告で使うときの条件と、証憑・報告の要件を定めたものです。
対象となる企業
- EDRを付与された、登録国内市場向け企業(DME。高付加価値DMEを含む)
- 登録時にEDRを選んだ登録輸出型企業(REE)
- CREATE MORE法の下で登録を移行し、EDRを選んだ旧制度(CREATE以前)の登録企業
共通のルール
適用の順番:追加控除は、総所得を計算し、通常の必要経費を差し引いた後に適用します。
直接の帰属と配賦:費用は、登録プロジェクト・活動に直接関係するものでなければなりません。複数の登録プロジェクトがある場合は、帳簿を分けて管理します。共通費の配賦は、収益・原価・従業員数のいずれかの基準で、1つの方法を全優遇期間を通じて一貫して使い、その方法を監査済財務諸表(AFS)の注記で開示します。
関連者取引:関連者との取引から生じる追加控除は、原則として認められません。独立企業間の条件で行われたことを適切な書類で裏付け、かつ各控除の要件も満たす場合に限り認められます。日本本社やグループ会社からの仕入れ・役務の費用に追加控除を使う場合は、価格の妥当性を示す資料を整えておく必要があります(参考:「移転価格文書化の実務」)。
MCIT:EDRを使っても、最低法人税(MCIT)の方が、EDR適用後の通常の法人税より高い場合は、MCITが課されます。
控除ごとの主な条件
| 追加控除 | 主な条件 |
|---|---|
| 減価償却の追加控除 | 管理・支援・補助業務の資産(社用車など)は対象外。RBEが所有する資産であること。中古の機械・設備は、SIPPで認められている場合を除き対象外。使用権資産は、PFRS 16とRMC 11-2024に従って対象にできる |
| 労務費の追加控除 | 登録事業に従事する、RBEが直接雇用した国内の従業員のみ。管理職・管理部門・間接部門・外部委託の人員・請負業者・支援スタッフは対象外 |
| 研究開発費の追加控除(100%) | フィリピン人従業員の給与、消耗品、国内の研究開発機関への支払いなど、国内での支出に限る。IPAへの研究開発計画の提出と、関係政府機関の推薦が必要。市場調査・探査・実現可能性調査・社会科学の調査・特許やライセンスの業務・社内管理用のソフト改修は対象外 |
| 研修費の追加控除 | 登録事業に直接関係する技術研修で、IPAが承認し、直接雇用のフィリピン人従業員に行うものに限る。経営者教育・チームビルディング・CPDなどの継続研修・法定の研修は対象外 |
| 国内投入費用の追加控除 | 公証済みの総括報告書と、50%以上の付加価値を示す詳細な計算が必要。コンサルティング・法務・マーケティング・管理のサービスは原則対象外(中核の業務プロセスに直接組み込まれたものを除く) |
| 電力費の追加控除 | 登録事業に使った実際の電気代のみ。違約金・追加料金などは対象外 |
| 再投資控除 | 製造業・観光業のRBEが、未分配利益・剰余金を再投資した場合で、2034年12月31日まで。実際の現金・設備投資の証明が必要。取締役会決議(パートナーシップは社員の決議)を、公証済みの総括報告書とともにIPAに提出し、AFSの注記でも開示する。債券、インデックスファンド、年金基金、他のRBEへの同様の投資は対象外 |
| 販売促進費の追加控除(50%) | IPAが承認した、海外市場向けの展示会・貿易ミッション・見本市の費用。国内市場向けの展示会は対象外 |
| EDRにおける拡充NOLCO(欠損金の繰越) | 所有に大きな変更がない場合に限る。GIS、実質的支配者に関する宣誓書または株主・社員に変更がない旨の宣誓書、取締役会決議または会社秘書役の証明書の提出が必要 |
報告:公証済み総括報告書(NCSR)
EDRを使うRBEは、申告で使ったすべての追加控除について、所定のテンプレートで公証済みの総括報告書(NCSR:Notarized Comprehensive Summary Report)を作り、IPAに提出します。NCSRは登録プロジェクトごとに作成し、控除の種類と金額、配賦の方法、証憑のチェックリスト、再投資控除・拡充NOLCOの明細、IPAの承認が必要な研修・輸出促進活動の承認状況を記載します。
提出期限は、年次ITRの提出から30暦日以内、または年次ITRの法定期限のいずれか遅い日です。書類・証憑・報告の要件を満たさない場合は、追加控除の一部または全部が否認される可能性があり、BIR・IPA・FIRBによる罰則とは別に扱われます。
これらの証憑と報告の要件は、2026年12月31日以後に終了する課税年度から厳格に適用されます。12月決算の企業では、2026年12月期の年次申告から対応が必要です。
あわせて公表:エネルギー非常事態のRBE向け一時措置(RMC 101-2026)
RMC 101-2026は、FIRB決議011-26(2026年5月18日付)を公表しました。大統領令第110号で宣言された国家エネルギー非常事態で、事業が影響を受けた・中断したRBEについて、IPAが次の一時措置をとれるとしています。
- ITH・SCIT・EDRの適用を、事業が影響を受けた程度に応じた期間だけ繰り延べる(繰延べの対象期間の課税年度は、法人税を納付する)
- 登録プロジェクトの条件に従い、優遇を受けられる状態のまま、商業運転の開始日を後ろにずらす
この措置は、2026年3月24日から1年間有効です(大統領令第110号が延長または解除された場合を除く)。どの企業がどこまで対象になるかは、登録しているIPAの判断によります。同じ非常事態に関する在宅勤務の特例(FIRB決議005-26)は、「PEZA登録後の税務コンプライアンス完全ガイド」で説明しています。
実務で確認しておくこと
- 自社がDO 026-2026の対象か:EDRを付与されている、または登録時にEDRを選んだかを、登録証で確認する
- 配賦の方法を決めて文書化する:収益・原価・従業員数のどれを使うかを決め、AFSの注記に開示する
- 関連者取引の追加控除:日本本社などとの取引に追加控除を使うなら、独立企業間であることを示す資料をそろえ、各控除の要件も満たしているかを確認する
- 控除ごとの証憑を整える:直接雇用の従業員の名簿、研修のIPA承認、電気代の明細、国内投入費用の付加価値の計算など
- NCSRのスケジュール:2026年12月31日以後に終了する課税年度の申告から、ITRの提出と合わせてNCSRの作成・公証・提出を計画する
- エネルギー非常事態の影響を受けた場合:優遇の適用の繰延べなどについて、登録しているIPAに相談する
よくある質問
証憑・報告の要件は、どの課税年度から厳格に適用されますか?
2026年12月31日以後に終了する課税年度からです。12月決算の企業では、2026年12月期が最初の対象になります。
SCITを選んでいる輸出企業にも関係しますか?
DO 026-2026の対象は、EDRの適用を受ける企業です。登録時にEDRを選んだREEは対象ですが、SCITを選んでいるREEは対象ではありません。
日本本社に支払う費用は、追加控除の対象になりますか?
関連者取引から生じる追加控除は、原則として認められません。独立企業間の条件であることを書類で裏付け、かつ各控除の要件を満たす場合に限り認められます。
NCSRを出さなかった場合は、どうなりますか?
書類・証憑・報告の要件を満たさない場合は、追加控除の一部または全部が否認される可能性があります。
まとめ
DO 026-2026により、EDRは、費用の範囲・配賦・証憑・NCSRまで整えて初めて使える制度であることが明確になりました。2026年12月31日以後に終了する課税年度から厳格に適用されるため、12月決算の企業は年内に、対象費用の洗い出しと証憑の整理を始めることをおすすめします。カメリアコンサルティングでは、PEZA・BOI登録企業のEDRの検討と、申告・NCSRの準備を支援しています。
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執筆:五十嵐碧/監修:日比野和樹
